色付けが人気の人情鮮魚店山下鮮魚店 山力

No.16

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郷土料理「色付け」や

こだわりの鮮魚と仕出し料理。

鶴来街道を白山方面に進むと見えてくるレトロな外観が目印の

「山下鮮魚店 山力」さん。

こだわりの名物「色付け」という郷土料理が口コミで話題になり、

県内外から多くの人が通うこの「絶メシ」を求めて、

昭和レトロ大好きな調査隊、ひできんぐがワクワクしながら

現地へ向かいました。

(取材:絶メシ!いしかわ調査隊・ ひできんぐ)

名物は色付け、鮮魚、炭火焼だけじゃない!
お客様を愛し愛される人情味溢れる気さくな人柄の店主さん。

最初に露天焼き場の隣にある店舗のほうにご挨拶に行くと、店主の山下力男さんと奥様の久美子さんがお出迎えしてくれました。

ひできんぐ

「こんにちわー!お店レトロで大好きです!あれ?

鮮魚だけじゃなく色々売ってるんですね」
鮮魚店には、総菜や醤油などの調味料、卵や、パン、バナナなども置いてある。
山下さん

「昔からの魚屋っちゅうのは仕出しもしとったからな。注文、急に入っても総菜や仕込みをして対応したりしとるうちに、

あれもこれも置いたりしとったらこんなんなったわ(笑)

うちは冠婚葬祭の仕出しもしとるからなおさらやな」

取材中にも、魚以外の買い出しをするお客さんが次々来店してくる。注目すべきは滞在時間。買い物は終わっても世間話がとまらない(笑)お客さんとの交流もこのお店の楽しみ方の一つ。日が暮れちゃうので取材に戻ります(笑)

店内にはピッチピチの鮮度のいい旬の魚がずらっと並ぶ。ご予算に応じてお造りや魚の調理もしてくれるそう。
「そもそも魚屋を始めようとしたきっかけってなんでしょうか?」
「村に一店舗だけあった魚屋の親方に、うちの親が、この子ここで勉強させてって勝手に頼み込んだのがきっかけやけ。むかっしぃゆうたら、中学卒業した人の半分くらいは、高校いかんと仕事しとったしな。ましてわしゃ4男やろ。卒業してすぐ働きだしたわ。住み込みで朝5時から夜9時まで働いて月給が5,000円くらいの丁稚奉公や。そこで10年ほど修業してこのお店開いたんや」
「ナイン・トゥ・ファイブ」どころの騒ぎではない、「ファイブ・トゥ・ナイン」。今なら労基が飛んでくる。昭和23年生まれといえば、まさにベビーブーマー世代。戦中戦後の「産めよ、増やせよ」のスローガンで、今の家族構成では考えられない、4人兄弟、5人兄弟があたり前だった。この世代がのちに日本の高度経済成長を支えることとなる
山下さん
「独立してから今まで毎日朝5時から市場で魚の仕入をして、常連さんの予約でお造りや焼き魚とか仕込みも全部一人でしとる。ありがたいことにお客さんの口コミで県外とか来てもらって嬉しいわ。土用の丑の日は鰻1000匹程売れるから、ほら、ポイントカードも沢山やわ(笑)」

そういうと奥から大量のポイントカードが・・・!なかなかの商売人(笑)

ひできんぐ
「口コミだけですか?!」
山下さん
「そうや、うちは宣伝もなーんもしとらん。このへんだけじゃないぞ。金沢とか、福井とかもあるわ」
ひできんぐ
「多くのお客様に愛されてるんですねー!あっ、ちなみにこれは何の仕込み中ですか?」
山下さん
「これはイワシや。今からかば焼きにしようかって思っとる。焼き場は今うちの兄貴がしとるから、今、焼いてもろわー」
と,3軒ほど隣の掘っ立て小屋(失礼w)に。
炭火でじっくり焼き上げるのは3男のお兄さん勝男さんの役割。焼き場担当は3代目。初代は次男の外主さんが、残念ながらお亡くなりになり、長男の忠弘さんが跡を継ぎ、その後ご勇退され、ちょうど定年退職された勝男さんが焼き場に立つこととなった。8人兄弟姉妹のうち、お姉さんの花江さんも加わり、兄弟で分担しながら調理や販売をされているそう。兄弟の会話はボケと突っ込みの漫才を見ているよう。

さあ、今から実食です!

「色付け」とは、簡単に言えば魚屋さんが店の魚を焼いて提供するお惣菜の一つで、金沢やその周辺、富山の一部で昔からそうと呼ばれている。店ごとに醤油やみりんなどタレの配合を変えているので「色付け」の味も微妙に違ってくるのだ。

焼きあがりました!いただきます!

ひできんぐ
「色付けって、ほっけのイメージしかなかったんですけど、色んな種類あるんですねー!」
山下さん
「ほやろ?うちはわしのべたいもん色付けにしとる(笑)メニューにないのもあるんやわ」
魚はふわふわ!!イカなんかもはぷりっぷりの食感!秘伝の甘辛いタレと炭火の香ばしさが食欲かきたてられます。
ひできんぐ
「もう、めっちゃ美味い、どうしよう白ご飯ほしくなってきた(笑)。なんなら、タレだけでもご飯いけちゃいますー(笑) 全種類食べたくなりますね!色付けのこだわり、教えてくれませんか?」
山下さん
「魚の色付けや蒲焼に使用する秘伝のタレは、味がぶれんように使い切りで無くなったら新しく作るんやわ。継ぎ足しはせんね」
勝男さん
「(山下さんのお兄さんの勝男さん)炭火焼も特注の焼き台作ってもろて、高温でじっくり焼き上げとるわ」
山下さん
「タレはな、地元の鶴来のおおや醤油さんのを使っとる。配合は企業秘密やな(笑)うちの嫁さんが店の味を作っとる。あとはその時その時の旬の魚を色付けにしとるんや」
ひできんぐ
「持ち帰ってから食べるときに美味しい食べ方ってありますか?」
山下さん
「冷めても色付けは美味いけど、出来るだけあったかいがにして食べて。ラップして少し穴開けて電子レンジで温めて食べてな」
街中の魚屋さんは鶴来地区では7軒ほど。今はそのうち3,4軒しか「色付け」を販売しているお店がないそうです。ここでしか食べられない優しい人情あふれる田舎の味「色付け」。是非足を運んでほしい1軒です。
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